生前さばき

警告

・残酷描写、性的言及

・これはエロしかないエロ小説と同じ割合でグロしかないグロ小説を書いたものです

・グロを書いただけなので内容はありません

・露悪的、猟奇的

・山なし落ちなし意味なしです

・本文で酷い目に遭うのはモブ男女のみです

・男性への性的虐待への言及

・著しいゴア表現しかありません

・男性器への激しい拷問をメインとしています

・倫理的に許されない行為(拷問、リンチ、屍姦の強制、死体の女性器の損壊)が多くあります

・尊厳破壊、死者を冒涜する行為があります

なんて奴らなの! 死後さばきにあうわ。

美咲みさきおばさんは真っ赤に充血した目から涙を流した。溶けだしたマスカラと混じって黒く濁った涙は、何とも汚らしい。

「死後さばきにあう」────俺は何となくその言葉に聞き覚えを感じて、美咲おばさんの小指の先、第一関節を懸命に剃刀で削っている刹夏せつなに尋ねた。

「死後さばきにあう、って何の台詞だっけ」

「え!? 何!?」

おばさんの甲高い悲鳴に遮られ、俺の声は刹夏に届かなかった。あいつは鬱陶しそうに顔を顰めながら、切り取った小指の先を俺に向かって放り投げた。

「は? これどうすんの」

「平昌へいすけおじさんが帰ってきたら食べさせる」

俺はキャッチした小指をどう保管するか考えあぐね、キッチンへと向かった。俺たちの家の台所とは比べ物にならない広いアイランドキッチン。吊り棚を適当に漁ったけど目当てのものが見つからないので、仰向けに倒れたまま泣き喚く美咲おばさんに声を掛けた。

「あのー、ジップロックとかってどこにあります?」

「このケダモノ! 悪魔! 悪魔!」

────会話になりそうもない。俺は呆れて溜め息をついた。保存袋は無かったがサランラップを見つけたので、血が漏れ出さないように小指の先をぐるぐる巻きにしてからズボンのポケットに突っ込んだ。

刹夏はおばさんの小指の第二関節に取り掛かっていた。おばさんが暴れているせいかそれとも血で滑るからか、何度も彼女の手を取り落としている。

「ねえ、俺代わろうか」

「頼む」

刹夏はうんざりした面持ちで俺に剃刀の刃を渡した。

「怪我すんなよ、瞬しゅん」

「しないよぉ〜瞬は刹夏より器用だからぁ〜」

裏声で歌いながら揶揄うと、後ろ頭を軽く叩かれた。

「痛え! 手を切ったらどうするんだよ」

「俺より器用だから切らねえって言っただろうが」

刹夏は鼻で笑うと、キッチンの流しで両手に付着した血を流し始めた。俺はそれを横目におばさんの小指の第二関節に剃刀の刃を添わせた。

指の骨は剃刀の刃で切断できないから折ったのだろう、傷の断面からは不自然に欠けた白いものが覗いている────刹夏は下手くそだ。

関節に狙いを定めたら、そのまま刃を皮膚に沈ませる。骨に当たる感覚がしたら、迷うことなく滑らせるように肉を切る。美咲おばさんは超音波のような金切り声を上げ続けているが、もうどの瞬間が痛くてどの瞬間が痛くないのか分からないのだろう。こうなったら人はおしまいだ。発狂するしか逃れる術はない。

剃刀が指を一周して元の地点に戻ってきたところで、俺は手を離した。戻ってきた刹夏を手招きして、美咲おばさんの腕を掲げてみせる。

「ほら、見て刹夏」

指輪でも抜き取るかのようにおばさんの小指の第二関節を外してみせる。粘ついた音を立て、血と組織液が混じった汚い糸を引きながら指の欠片が俺の手の中に収まる。

「上手いだろ」

「なんで骨から綺麗に外れるんだ? 骨と肉はくっついてるんじゃねえのかよ」

「骨の周りだけ削いで抜き取れば綺麗に肉だけ分離できるんだって。手羽先とかと同じ」

刹夏はまだ納得がいっていないようで、不貞腐れたように薄い唇を尖らせた。

俺は取り外した指の輪切りをどうするか悩んで、ポケットからさっき刹夏が切った小指の先を取り出すと纏めてラップに包み直した。

「平昌おじさんが帰ってくる前に準備を終わらせないと」

口から涎を垂らしながらぐったりと遠い目をしている美咲おばさんを一瞥し、刹夏は頷いた。

ワンピースをたくし上げて下着を脱がそうとすると、虚ろだったおばさんは急に目が覚めたみたいに暴れ始めた。

「安心してください、おばさん」

俺は泣きじゃくるおばさんに微笑みかけた。

「俺たちは犯したりしません。あなたは零児れいじを痛めつけたけど、辱めなかったから」

美咲おばさんは零児の名前を聞いて一瞬だけ体の力を抜いた。

「……これは……報いなの?」

「そうです」

「こんなに暴れるなら脱がせる前に殺せばよかった。どけ、瞬」

刹夏はうつ伏せに倒れているおばさんに馬乗りになると、その頭を掴んで手で大きく横に捻った。ぼきん、と鈍い音がして首の骨が折れる。美咲おばさんの鼻から血が流れ出した。口からひっきりなしに泡の混じった涎を噴いている。

「下手くそめ」

俺は舌打ちをすると、おばさんの喉を押さえて強く指を沈みこませた。硬い喉仏の骨を力一杯頚椎の方へと押し込むと、首を捻られた鶏のような声を上げて今度こそ彼女は絶命した。

「はっきり言って、お前には殺しの才能がない」

「だって殺したことないんだから仕方ねえだろ。そういうお前はあるのか?」

俺は首を横に振った。

「無いけど、多分お前より要領がいいんだ」

刹夏はまた不服そうに顔を顰めてみせた。

「ビギナーズ・ラックだろ。見てろ、今に俺の方が上手くなる」

「今後も殺す予定があるのかよ」

張り切ってぐるぐると腕を回してみせる刹夏に、俺は呆れ返った。

暫く経って平昌おじさんの車がガレージに停まる音がすると、俺たちは彼の出迎えの用意をした。刹夏がハンマーを持ってドアの陰に隠れ、俺は玄関で待機した。

平昌おじさんは俺たちがいることなど想像もしていなかったのだろう、玄関のドアを開けると「帰ったぞ」と家の中に向かって叫び、そして俺と目が合った。

「……瞬くん? ……どうしたんだ……そんな格好で」

俺は血塗れになったシャツを脱いでいた。上半身裸の俺を見て平昌おじさんはにやにやと薄気味の悪い笑顔を浮かべた。

「おじさんが帰ってくるのを待ってたんです」

自分でもぞっとするような猫なで声でそう告げて、首を傾げてみせる。

「見せたいものがあるからリビングに行きませんか?」

平昌おじさんは興奮した様子で俺の腕を掴んだ。

「ここでもいいよ、おじさんに見せてごらん」

ジーンズ越しに尻を撫でられて鳥肌が立つ。刹夏が背後からおじさんの頭をハンマーで殴った。

「刹夏! 馬鹿!」

おじさんはフローリングに転がり、白目を剥いている。ピクリとも動かない。

「力が強すぎだ! 死んじまったらどうするんだよ!」

「悪い、なんか……すごくキショくて」

刹夏はくしゃりと顔を歪めた。俺は床にしゃがんでおじさんの体を揺さぶった。

「おじさん! 死なないで平昌おじさん!」

「とりあえずリビングに運ぼうぜ。まだ死んでないかもしれないし」

平然と言ってのける刹夏に怒りが湧いたが、言う通りに二人がかりでおじさんの体を引き摺ってリビングに連れて行く。

ソファには美咲おばさんが座っている。その隣に平昌おじさんを座らせ、用意していたロープで手足を縛った。

「……息してる。脈もあるし大丈夫、まだ生きてる」

平昌おじさんの首元を触りながら刹夏は俺の顔色をしきりに窺った。

「だからもう拗ねるなって、瞬」

「このキッショいクソホモ野郎に色仕掛けまでしたのにここであっさり死んだら恨むからな」

俺は刹夏の頬を軽く抓った。刹夏は本当に反省しているらしく、抓られたことを怒るでもなく肩を竦めてみせた。

幸い、おじさんは十分ほどで目を覚ました。ごほごほと咳をして、それから刹夏に殴られた頭が痛むのか顔を顰めて……そして左隣に全裸の美咲おばさんが座っていることに気付いて息を飲んだ。

「……み、美咲?」

「おばさんね、辛かったらしいよ」

俺はスマートフォンで美咲おばさんのインスタグラムの裏アカウントを眺めながらおじさんに声を掛けた。

「もう何年もセックスレスで、しかも平昌おじさんが欲情してる相手が養子の零児だって知って、辛くて虐めたんだって」

「そん……な、ど、どうして、」

俺と刹夏は顔を見合せた。

「どうしてって……まさかおじさん、」

「おばさんにバレてないと思ってたのかよ?」

くすくす、と刹夏が笑う。俺もつられて笑みを漏らした。平昌おじさんの顔が怒りと羞恥で赤くなる。

「お前たち、これは何の悪ふざけだ! 零児もいるんだろう! あの子はどこだ!」

「もうおじさんは零児には会えないよ」

俺はソファに手をついて、おじさんの耳元で囁いた。

「だっておじさんはあいつをレイプするじゃん」

おじさんはぎょろりと目を見開き、横目で俺を睨んだ。

「零児がそんなこと言ったのか? 嘘だよ、あの子は構ってほしくてそんなタチの悪い嘘を……」

「おい瞬、こいつ話にならない。もう始めようぜ」

刹夏は苛ついた様子でおじさんの薄くなりかけた前髪を引っ張った。俺も刹夏に同意見だった。二人で平昌おじさんの腕を両側から抱え、大股を開いて座っている裸の美咲おばさんと対面させた。

おじさんはようやく美咲おばさんが死んでいることに気付いたらしかった。ひっ、と引きつけのような声を出すと、おばさんの死体に向かって勢いよく嘔吐した。

漂ってくる酸っぱい吐瀉物の臭いに俺と刹夏は顔を顰めたが、ここで手を離しても仕方ないので我慢した。

「おばさんとさ、セックスしてあげてよ」

「そうそう。可哀想だろ? 夫がガキに手を出す最低のホモ野郎のまま死んじゃったら」

俺はおじさんのズボンのベルトを外し、下着ごとずり下ろした。さすがにちんぽは萎えて縮こまっている。

「勃起しないと挿入できねえな」

「ええ? やだよ俺、おじさんのちんぽ触るの」

「おじさん、自分で勃起してくれる? できなかったらその汚ねえブツ切り落とすけど」

刹夏はズボンのポケットからバタフライナイフを取り出し、刃を平昌おじさんのちんぽの付け根に添えた。

「こ、こんなこともうやめてくれ」

「できんの? できねえの?」

高圧的な口調で刹夏はそう凄むとナイフの刃を強く押し当てる。おじさんはガタガタと震えながら何度も頷いた。

「で、できる、できる。だからやめてくれ」

「じゃあ頑張って勃起してみよっか。どーせ家に戻る前にバイアグラ飲んできてるでしょ?」

俺も刹夏とお揃いのバタフライナイフを取り出し、おじさんの手を縛るロープを解いた。そのまま背中に刃の先を付ける。

「自分でシコッていいよ。逃げようとしたらケツの穴にナイフ刺すからな」

平昌おじさんは震える右手を自分の体の前に持ってきて、萎びたちんぽを必死で扱き始めた。勿論恐怖のせいか全然勃起しなくて、彼は半泣きになりながら中学生のガキみたいにひたすら手を動かした。

「クソッ……無理だ……こんなの……」

「刹夏、助けてやれよ」

俺がそう言って目配せすると刹夏はうんざりした表情でおじさんの股間を覗き込み、ちんぽに向かってぺっと唾を吐き捨てた。

「乾いてるから勃たねえんだろ」

「ほらぁ、おじさんの好きな男子大学生の唾だよ。頑張って勃たせて?」

俺が耳元で囁くと、平昌おじさんは涙を流しながら刹夏の唾を潤滑剤代わりにして更にシコッた。努力のおかげか暫くするとようやくおじさんのちんぽが硬くなってきて、半分くらいだけど勃起した。

「瞬、俺こいつ見とくからアレ持ってきて」

刹夏は俺にそう言うとおじさんの首筋にナイフを当てた。俺は頷いて、持ってきたリュックから細長い金属の棒を取り出した。持ち手以外の全体にびっしりと細かい棘が生えたそれを見て、おじさんは青ざめた。

「……これなんだと思う?」

「や、やめてくれ」

「自分の手で支えて」

平昌おじさんは泣きながら自分の半勃起したちんぽを手で支えた。俺は金属の棒をおじさんのちんぽに近づけて、そして尿道へと勢いよく突き刺した。

「ぎっ……」

ごぽ、とおじさんの喉から音がしたので慌てて手を引っこめると、案の定おじさんはまた嘔吐した。栓をされたちんぽの先からぼたぼたと血が滴っている。

刹夏は再び平昌おじさんの手を後ろ手に縛った。

「さあ、これで準備が出来た。おばさんに挿れてあげて?」

「む、無理だっ……こんな、死ぬっ……」

「挿れろって言ってんだろうが。早くしろ」

短気な刹夏は血が滲むほどきつくおじさんの首にナイフをくっつけた。俺もおじさんの背中をナイフの刃先で軽く引っ掻いた。

「ね、おじさん、早く挿れてぇ?」

甘えるような声で囁く。平昌おじさんは鼻水を垂らして泣きじゃくりながら、吐瀉物塗れの美咲おばさんの膣に自分のちんぽを挿れた。

「が、っ……ぐ、ああっ!」

中に入れた途端おじさんは顔面蒼白になって、慌てて腰を引こうとした。俺たちが美咲おばさんの膣に大量のガラス片を突っ込んでいたからだろう。刹夏はちょうどおじさんの背後にナイフを掲げていたので、おじさんは背中からナイフに突っ込んで行って、ちょうど尾骶骨の辺りにその刃が突き刺さった。

「がああっ」

濁った悲鳴を上げながら腰を前に突き出せばガラス片だらけの膣内にちんぽを突っ込む羽目になり、痛みに耐えかねて腰を引けば背後からナイフが刺さる。傍から見ると必死でおばさんの死体に向かって腰を振ってるように見えて、滑稽だった。

「こういうの永久機関って言うんじゃね?」

刹夏が笑う。俺は首を傾げた。

「ちょっと違うと思うけど」

平昌おじさんの下半身は前も後ろも血に塗れていた。おじさんは涙と鼻水と涎と吐瀉物ととにかく色んな汚い液体で顔をぐしゃぐしゃにしながら叫んだ。

「助げで……もう許じでくれ……っ」

「許して、って言われてもなあ。簡単に殺しちまったら零児に面目ないし」

刹夏は困惑気味に後ろ頭を掻いた。

「うーんと、じゃあ射精したら終わりにしよう。中出し、わかる?」

俺の提案におじさんは首をぶるんぶるんと横に振った。

「無理だっ! 刺さってるから!」

どうやら尿道に刺した棒がつっかえてるから精液が出せないらしい。刹夏がおじさんの背中にくっ付けていたナイフを引っ込めたので、俺は渋々おじさんのちんぽから棒を引き抜いてやることにした。亀頭の先から飛び出したそれは血で真っ赤に汚れていた。

「うへえ、汚ねえ」

先端の飛び出ている部分を指で摘んでゆっくりと引き抜いていく。しかし、多分返しになってる棘の部分が内側でつっかえていて、少し力を込めただけでは抜くことができない。

「血で滑るんだけど。刹夏やってよ」

「エーッ? 気持ち悪ぃなあ」

苦虫を噛み潰したような顔をしつつも、刹夏は俺の代わりに棒を引っ張った。おじさんはもはや悲鳴も上げられず、獣のような低い唸り声を上げながら口から血の混じった泡を噴いていた。上半身は傷付けてないから、恐らく舌を噛んでしまったのだろう。

「意外と力が要るな、これ」

「でしょ?なんか棘が引っかかっててさあ」

えいっ、という掛け声と共に刹夏は力を込めて棒を引っ張った。ぶちぶちと肉の裂ける音がして棒が抜ける。棒全体が血で真っ赤だが、棘の部分には所々肉片のような薄桃色の塊が付着していた。

平昌おじさんのちんぽはみるみる萎みながら、びしゃびしゃと小便みたいに大量の血を撒き散らした。

「あーあ、汚ねえ」

「出すのは血じゃなくてザーメンだよおじさん。血じゃ子作りの意味がないだろ」

力が抜けたのかおじさんの膝がガクンと折れ、その場に座り込んだ。萎えたちんぽの先から壊れた蛇口みたいに血を流し続けている。

「刹夏ぁ、このままだとおじさんが出血多量で死ぬんじゃねえ?」

「それは困るな。まだ死なれちゃ悪い」

刹夏はポケットからライターを取り出した。

「え、お前まだ煙草吸ってたんだ!」

吸ってねえよ、と刹夏は口の中でもごつくように反論した。

「……零児が喫煙は健康に悪ぃって言うからやめたし」

俺はニヤニヤ笑うのを堪えきれなかった。刹夏は零児の言うことだけはいつも素直に聞く。

恥ずかしくなったのか、刹夏は俺の脇腹を肘で小突いてきた。

「ニヤつくな、馬ァ鹿」

刹夏は床にへたり込んでるおじさんの股の間にライターを近付けた。

「炙って止血すっから」

「やめ、やめて……もうやめてくれ……」

鈴口に火をくっつけるとぷすぷすと肉の焦げるような臭いと共に薄らと煙が上がる。しかしライターの火は小さすぎて、傷を焼いて潰すには足りない。

「ガスバーナーでも持ってくればよかった」

「こんなに血が止まらねえとは思わなかったもんな。もう子作りセックスは諦めて次の段階に移ろうぜ」

刹夏が諦めてライターを仕舞うと、平昌おじさんは糸が切れた人形みたいにがっくりと項垂れた。

「あ!」

俺は急に思い出してズボンのポケットに手を突っ込んだ。美咲おばさんの指の欠片を食べさせるのを忘れていた。

ラップを剥がすと、平昌おじさんの髪を掴んで上を向かせた。

「口開けて〜」

おじさんは俺の手に握られてるものを見て口を開けるどころか必死で唇を噛んだ。

俺はおじさんの髪を掴んだまま彼の下腹を思いっきり足で蹴った。

「があああっ!!」

大きく開いた口に小指の欠片を投げ入れ、手で無理矢理顎を閉じさせる。おじさんの喉がごくり、と動いたのを確認して手を離した。

「うえええっ」

俺が手を離した途端、平昌おじさんは勢いよく床に指を吐き出した。さっき二回吐いたからか、吐瀉物は薄茶色い胃液と指の欠片だけだった。

吐かれちまったけどまあ一度食べさせたからノルマ達成でいいだろう。

「許じてぐれ……もう……もう許じで……」

吐きすぎて喉が焼けたのか、嗄れた声でおじさんは懇願した。

「ごんなごどして……ただでずまないぞ……」

「ただで済むよ。おじさんとおばさんは失踪したことになるんだ」

俺はしゃがんで、おじさんと目線を合わせた。

「五十万。たった五十万円でさ、死体二つくらいなら跡形もなく消してくれる業者がいるんだぜ」

「死体」という言葉を聞いて、おじさんの瞳孔が恐怖で大きく見開かれた。まさかまだ殺されないつもりでいたのだろうか。

「俺たち、二人でバイトして金貯めたんだ。おじさん、死体ってどうやって消すか知ってる? 関節ごとにバラバラに切って、特別な薬液に漬けるとシュワシュワ溶けて骨まで消えちまうんだって」

ひぃ、ひぃとおじさんは情けない泣き声を上げながら涙を落とした。俺と刹夏は顔を見合せて笑った。

「安心しろよ、死んじまえば体が溶ける痛みなんて感じねえから」

「そう、残念だけど死んじまったらそこで終わり。だから生きてるうちにいーっぱい痛い目見ような、おじさん?」

おじさんはぶるぶると身体を震わせ、鼻水を垂らしながら頭を垂れた。

「主よ……憐れんでください……」

聞き慣れない祈りの言葉だった。そういえばおじさんたちはキリスト教徒だっけ。

なんて奴らなの! 死後さばきにあうわ。

俺は思い出した。美咲おばさんの言葉をどこで聞いたのか。高校の時の通学路にキリスト教の怪しい黒い看板が貼ってあって、そこに同じことが書いてあったんだ。

「……死後さばきにあう、か」

「何それ?」

刹夏は俺の言葉に怪訝な顔をした。

「美咲おばさんが言ってた言葉。ほら、キリスト教の看板とかに書いてあるじゃん、死後さばきにあうって」

「ああ、あったようななかったような。零児なら分かるかもな」

少しの沈黙の後、刹夏は堪えきれないとでも言いたげに笑い出した。

「いやいや、死後の世界なんかないから神様に祈っても無駄だって。何のために俺たちがこんなことしてると思ってんだよ」

おじさんは俺たちを無視して一心不乱に神様に祈っていた。刹夏はおじさんの髪を掴んで床に引き倒した。

「死後の裁きなんてねえから生きてるうちに目一杯苦しめてんだろうが! 生前裁きだ、生前裁き!」

刹夏がおじさんを腹を蹴るので、俺も加勢して反対側からおじさんの顔を蹴りつけた。

おじさんは泣きながら俺たちに謝った。

もう遅い。それに、謝る相手は俺たちじゃないだろう。

────全てが終わる頃には夜が更けていた。俺たちは予め連絡していた業者の人に電話して来てもらった。作業服を着た中年の男の人が四人家に来て、そのうちの二人はビニールシートにおじさんとおばさんをそれぞれ包んで持って行った。残った二人が家の中を綺麗にした。指紋だけじゃなくて血痕とかも残らないから安心してくれと説明してくれた。

俺と刹夏は男の人に五十万円が入った封筒を渡した。男の人は念入りに札の数を数えたあと、頭を下げて帰って行った。

俺たち二人はもう一度シャワーを浴びた後、二階に続く階段を上がった。

二階の奥、突き当たりの部屋で零児は眠っていた。睡眠薬を飲ませていたからぐっすりだ。俺たちは零児を挟んでベッドに横たわる。 刹夏が零児の髪を撫でた。

「零児、起きて」

ううん、と小さく呻いて、零児は薄らと瞼を開いた。

「……刹夏……瞬……?」

「おはよー、零児」

俺は零児を抱き締めた。刹夏はその上から更に俺と零児を抱き締めて、満面の笑みを浮かべた。

「ふふ、『生前裁き』終わったぞ」

「終わったな!」

くすくすと顔を見合せて笑う俺たちを交互に見比べて、まだ寝惚けている零児は訳も分からないままふにゃりと微笑んだ。

(終)